| 「利益計画検討表」で慢性的な赤字から脱却した土木工事業K社の場合「あっ、黒字になった!」社長から思わず驚きの声が漏れた。
業績不振で苦しんでいたA氏が、仁科氏と出会ってこの利益計画表を作成するようになったのは3年前。最初は半信半疑であったが、その翌年から売上が回復、以後、増収増益を続けているという。
K社の社員数は、役員、技術者、事務員を含めて13人。A 社長は二代目で、社歴は40年以上ある。仁科事務所には知人の紹介でやってきた。資金繰りに困ることが多いので、改善するためのいい方法はないかというのが、相談の目的である。そのときのK社の経理状態はというと、あてにできる未収金はゼロで、保証協会の融資枠も使い切っていた。預金を担保にした当座貸越も限度枠いっぱい借りている。メインバンク以外の銀行から借り入れようともしたが、ここ数年は赤字続きのため、当然のように門前払い。思い余った末の相談であった。決算月は3月。相談に来たのはその3ヵ月前であったが、仮決算をしてみると、売上高は通年で4億5000万円くらいにはなりそうであった。しかし、昨年度に比べ5000万円ほど減る勘定である。だが、問題は、売上高もさることながら、どう計算しても経常利益が3000万円の赤字なのである。へたをするとそれ以上に膨らむ可能性もあった。銀行からの借り入れを実現するためにも、今期は黒字決算で終わらせたかった。
A社長は、あと3ヵ月で売上高を8億円程度に持っていければ黒字に転換できるのだがと、何とも甘い望みを抱いていた。が、そんなことは夢のまた夢である。
そこで、仁科氏は、前述の利益計画表のうち利益計画検討表を作成してみるよう勧めた。A 氏は最初しぶっていたが、仁科氏の強い勧めとワラをもつかむ思いから表を埋め始めた。まず、売上高を仮決算の金額の30%増で計算してもらった。赤字である。それではと、50%増しにしてみた。まだ赤字。
社長は、「やはり、な。どうやっても赤字は赤字なんだ」と、絶望的な顔をしている。
それを見て仁科氏は、こう言った。「では、限界利益率を5%増やしたらどうでしょう」すると、3000万円の予想赤字が半分以下になった。社長の表情が「おや?」というふうに動き、目つきが少し変わった。次に、限界利益率を10%、続いて15%に上げて試算してみるよう促す。すると、10%
では赤字であったが、15%で初めて100万円ほどの黒字が計上できた。
「あっ、黒字になった!」社長の口から、思わず驚きの声が漏れた。あり得ないことが起こった――。それを目の当たりにした者の嘆声であった。この不況下、多くの同業者が減収減益に苦しみ、倒産する会社も相次いでいる。K社よりも規模が大きいところでさえ、である。業界全体の仕事量も一頃に比べ激減している。それが常態となっていたので、どんなに頑張っても利益が出ることなどないと、A社長は半ばあきらめていた。ところが、限界利益率を15%にするだけでわずか100万円ではあっても黒字に転ずるのである。
「いや、本当にびっくりしました。目から鱗とは、まさにこのことでした」と、A社長・・・・・・。
以上は、商工にっぽん4月号の増収増益の特集からドキュメントの一部を抜粋したものです。「利益が出てくる不思議な表」の中の利益計画検討表を利用した経営改善の実例を取り上げてみたものです。
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