公私混同問題と中小企業の経費

b63b35d92fb3eddab7a1b52a8c3e9116[1]

 

東京都知事選に誰が出馬するのか注目が集まっています。事の発端は、舛添前都知事による政治資金の公私混同疑惑問題でした。

経費の公私混同は、中小企業であればいつでも起こりうる話だと思います。また、「どういった場合であれば会社の経費とすることができるのか?」と気になる社長様も多いと思います。

そこで、中小企業の経費について基本的な点を改めて整理したいと思います。

 

<目次>

 

● 経費で落とすとはどういうことか?
 

① そもそも経費とは?

② 経費で落とす仕組み?

 

● 経費で落とすとどんなメリットがあるのか?

 

● なぜ社長個人の支出を会社の経費にしてはいけないのか?

 

● まとめ

 
 
 
 

● 経費で落とす(会社の経費にする)とはどういうことか?
 

よく「これ、経費で落としておいて」や「経費で落とすことできる?」という言葉を耳にします。総務関連のお仕事をしている方であれば、よくわかることかと思いますが、「経費で落とす」とはどういうことなのでしょうか?
ここで、①そもそも経費とは?②経費で落とす仕組み の2点についてまとめてみます。
 
 

① そもそも経費とは?
 

そもそも経費とは、何を意味するのでしょうか?
法人税の計算においては経費のことを損金といいます。
ちょっと難しいですが、法人税法22条では以下のように規定されています。
 

 

「内国法人の各事業年度の所得の金額は、(以下中略)」
国税庁HP:https://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/data/h23/jishin/atsukai/more/01.htm
 
 

つまり、会社にとって経費とは原価、費用、損失のことをいいます。

 
 
 

② 経費で落とす仕組み
 

経費で落とすと何ができるのでしょうか?
一言でいえば、経費にすることで税金として計算されない金額を増やすことができます。
 

 

ところで、法人税はどのように計算されるのでしょう?
大まかにお話しすると次のようになります。
 

 

所得金額=益金-損金
 

 

上記で計算した所得金額に応じて、税金は計算されます。
 

つまり、所得金額が大きいほど、支払う税金は多くなり、所得金額が小さければ、支払う税金は少なくなります。

 
 

ここまでをまとめると、「経費で落とす」とは、会社の損金を増やすことで、所得金額を小さくすることと言えます。

 
 
 

● 経費で落とすとどんなメリットがあるのか?
 

「経費で落とす」とはどういうことかはご理解いただけたかと思います。
では、なぜ個人の支出を経費で落とそうとするのか?経費で落とすとどんなメリットがあるのか考えてみたいと思います。
 

先ほど「経費で落とす」と、会社の損金を増やし、所得金額を小さくすることができると述べました。
また、所得金額が小さければ支払う税金は少なくなります。
 
 

つまり、「経費で落とす」ことで、支払う税金を少なくすることができることが、会社にとって最大のメリットであるといえます。

 

ただし、経費の金額全てを損金にしていいというわけではないことに注意が必要です。
この経費は損金とすることができる?できない?という具体的なケースについては、今後考えていきたいと思います。

 
 
 

(参考HP)
 

・「経費で落とす」ってどういう意味?-これだけは覚えておきたい会計の基礎
(http://blog.yukarien.com/note/keihi/)
 

・社会人なら一般常識として抑えておきたい経費と税金の関係と基礎知識
http://inqup.com/expenses

 
 
 

● なぜ社長個人の支出を会社の経費にしてはいけないのか?
 

会社の経費とすることで、メリットが出ることはわかりました。そんなメリットを得るために、公私混同が起こることがあります。また、「自分が社長となって稼いだお金なのだから、自由に使ってもいいのでは?」と考える方もいるかもしれません。
なぜ、会社の経費を公私混同してはいけないのでしょうか?大きく分けると、以下の理由が考えられます。
 

 

① 銀行からの融資を受けられなくなる
② 税務調査で指摘される
③ 社員のモチベーションが下がる
④ 資金繰りが悪化する

 
 

(参考HP)
 

・「舛添知事問題」に学ぶ経費の公私混同がいけない4つの理由
http://g-wip.com/wip/mikihide/mypage/news/newsId/10041719/logFlg/add
 
 

 

● まとめ
 

今話題の政治資金の公私混同問題から、改めて、中小企業における経費の基本について整理してみました。
「こういった場合は会社の経費にすることができるのか?」と具体的な事例も気になるかと思います。今後、具体的なケースを取り上げながら、中小企業の経費とすることができるのかについて紹介していきたいと思います。